読書の感想:『青年・渋沢栄一の欧州体験』

 

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私はこの著作を読んで次の二つのことを考えた。渋沢はなぜここまでの超人的な

業績を収めることができたのかという事と、我々はその生き方から何を学ぶことができるのかという事である。

 


渋沢はなぜここまでの超人的な業績を収めることができたのか

まず始めに何故彼はここまでの成功をすることができたのかについて論じる。私がこの著書を読んでまず始めに感じた成功の要因は渋沢が「運に恵まれていた」という事である。確かに彼は、著書にもあるように、「地方有数の豪農」であり「貸金業もしていたほどの資産家」である親の元にうまれ、尾高藍香のもとで勉学に励むこともできた「運に恵まれた」生まれであった。更には、激動の時代に貴重な経験を積むこともでき、豊かで素晴らしい出会いにも恵まれていた。しかしただ単に「幸運だった」というと、「自分には無理だから関係ない」と絶望する人もいるかもしれないが、私は決して絶望することなく次のような考え方に至った。「運も実力の内」と言われるように彼自身の性質に運を手繰り寄せるような要因があったに違いないという事である。まさに彼の性質が「人というものは不意に僥倖が来るものである」と彼に言わしめる鍵であったのだ。では、その性質はどのようなものであったのであろうか。一つには彼の純粋さ、素直さである。幕府に対して不信感を抱いていたのに関わらず、図らずも平岡や慶喜の器の大きさ、寛大な人間性に触れて、一橋家に士官し貴重な経験を積んだ。また、若き日に「攘夷」を叫んでいたが、欧州への洋行においては積極的に、また柔軟性をもって欧州の文化、産業、政治、経済などのあらゆる面において詳細な観察や分析をして、日本に還元しようとしたのである。この素直さ、純粋さがまず重要である。二つ目にはぶれない価値基準を持っていたという点である。渋沢は、自分の確固たる価値基準をもち、その価値基準に合うならば、「敵」と思っていた幕府や欧州から積極的に知識を得て、日本に生かそうとした。また価値基準に合わないならば、フランスでのヴィレットとの「決闘騒ぎ」や、「大蔵省での大久保との論争」などに見られるように、命を刺し違えてでも、職を賭してでも自分の意見を曲げようとはしなかった。この確固たる価値基準もまた一つの幸運をつかむ要因であった。そして最後は、やはり彼の生涯を貫くことでもあるが、公益を重んじ、モラルを大切にする人格である。欧州からどのようなことを学ぼうと、それを民衆の生活に根差して還元をしようと試み、経営者になってからも公共事業に積極的に貢献する姿はまさに人格者とよぶべきである。思えば彼の問題意識は「身分制度」や「官尊民卑」の打倒にはじまり、欧州への遠征を経てもその問題意識は揺らぐことなく彼の生涯に生き続けてきたと思う。その証が、彼の貢献した様々な公共事業や民間事業に表れている。この人格が最後に挙げる要因である。

 


我々はその生き方から何を学ぶことができるのか

では、我々はこの生き方から何を学ぶことができるだろうか。まず注目したいのが、著書の81ページに記してあるように「仙人でもなく、俗人でもない」生き方が重要であるということだ。泉先生も授業で言及したように常に二つの道を偏りすぎずに生きるという事である。価値基準も伴っての話ではあるが、これにより「討幕派」でありながら一橋家に仕官し、「攘夷派」でありながら洋行についていくという、その間の大道を求める経験豊かな生き方ができたのである。我々は価値基準をしっかりと持ち、偏りすぎないという事で、視野が広く大胆な生き方ができると思う。そして二つ目にはやはり「公益」「モラル」という事を重んじるという事である。現代という、モラル無き市場原理主義によって勝ち負けが生まれ、貧富の差も拡大する時代にあっては、公益を求め「論語的に」生きることが我々若者にとって重要なことなのである。

 


総じて、「公益の重視」と「個人の利益」をトレードオフではなく、両立していたのが渋沢の生き方なのであるが、まさにこれは現代に生きる我々が参考にすべき立ち振る舞いである。例えば、ビジネスマンの生き方にとっても大変参考になる。公益を重視していくだけでは、その会社が存続できない。かと言って、個人の利益だけを追求すると、必ずと言っていいほど世間からの協力を得られなくなるのだ。

 


昨今のベンチャー企業やスタートアップは、この「公益の重視」と「個人の利益」のどちらも、ではなく、どちらかに極端に偏っていることが多いように思う。ある会社は、公益を重視するあまり、株式会社の形式では存続することができず、NPO法人化などをし、結果スケールできず多くの人に益を届けることができない。逆に、急成長する企業は、公益よりも自社収益を重視するあまり、世間からの協力を徐々に得られなくなるのだ。

 


バランスをとっていきたいものである。

 

渋沢は旅好きだったと言われるが、冬の旅に欠かせないのは、湯たんぽである。

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そしてもう一つ、渋沢を無類の酒好きだと評する人もいる。
特に、蒸留酒が好きだったそうだ。是非あなたも蒸留酒を飲みながら、渋沢に思いをはせてはいかがだろうか。

 

 

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