広告ビジネスの可能性

この書籍を参考に

広告ビジネスのこれからについて考えてみた

 

現代広告論 第3版 (有斐閣アルマ) | 岸 志津江, 田中 洋, 嶋村 和恵 |本 | 通販 | Amazon



1.はじめに

 本記事は、広告ビジネスのこれからの可能性について、事業パートナー(第2章)、公的政策のパートナー(第3章)、メディアパートナー(第4章)、ビジネスプレイヤー(第5章)、という4つの側面から言及していく。

 


2.事業パートナーとしての可能性

 まず、事業パートナーとしての可能性について。現在の広告会社の業務は、実に多岐に渡っている。従来通り、マスメディアでの広告活動も行なっているが、商品開発、企業内のインナーコミュニケーションなどあらゆるマーケティング活動を事業会社のパートナーとなって行なっている。この事業パートナーとしてのビジネス領域は今後ますます拡大していくと思われる。具体的には、流通から販売までの有機的連帯によるオムニチャネル化や、企業間M&Aの補助など、コミュニケーション領域のあらゆるマーケティング活動を行うようになるだろう。

 


3.公的政策パートナーとしての可能性

 次に、公的政策のパートナーとしての可能性について。今現在も、株式会社電通は、パブリックコミュニケーションについてのビジネスを国と連帯して行なっている。地デジ化の周知、節電の呼びかけ、選挙争点理解の推進などの政策のコミュニケーション活動を行なっている。人々の情報源がテレビや新聞からインターネットなど多様化している今現在、コミュニケーション活動に強みのある広告会社が担う公的政策パートナーとしての役割はますます拡大していくだろう。

 

 

4.メディアパートナーとしての可能性

 そして、さらにメディアのパートナーとしての可能性について説明する。周知のことであるが、日本の広告会社、特に株式会社電通はメディア、特にテレビと共に発展してきた。その流れで今も、メディア部門とクリエイティブ部門が分離していない会社もある。これは否定的な文脈で語られることが多い。しかし、メディアとクリエイティブが連帯して働くからこそ、広告収入として今現在も大部分を占めるテレビや新聞の媒体価値を上げることができる。今後広告会社は、衰退産業と呼ばれているマスメディア業界の、コンテンツ作成や編集に関わる業務を増やしていくだろう。メディアの価値を媒体社と共に創ることで、共栄していくことができる。

 


5.ビジネスプレイヤーとしての可能性

 最後に、ビジネスプレイヤーとしての可能性について。広告会社にはマーケティング活動について、特に広告コミュニケーションについての知見が膨大に溜まっている。新しい技術を用いた製品や、いわゆる良い製品が売れるわけではない現代においては、「伝え、そして売る」という広告会社のアイデアや技術の価値は膨大なものになるだろう。しかし、今現在は、広告会社はコミュニケーション活動に特化しており、それ以外に大きなビジネスを動かしているわけではない。しかし、少しずつ車内で新規事業を行う流れがきていることからも、今後広告コミュニケーションに関係するもの/関係しないものも含め、自らの出資によりビジネスをプレイする立場はより大きくなっていくと予想できる。

 


6.まとめ

以上、広告ビジネスのこれからの可能性について、極めて推測的であるが、論じてきた。今後、広告会社はビジネス領域、活動領域を広げて、ますます原義的な「広告」という意味から離れていくかもしれない。しかし、私は広告会社の仕事とは「人を幸せにすること」だと思っている。クライアントのお金でビジネスをしようが、自分のお金で広告に関係ないビジネスをしようが、それが人を幸せにするビジネスであるべきだと考えている。そして、いつの時代も人に夢を与え、不便を解消し、人を感動させてきた広告会社には、もっと大きな、人を幸せにするビジネスができると思っている。